Interviewインタビュー

第1弾『狂武蔵』について

Vol.4
TAK∴ (監督&主演)下村勇二 (共同監督)

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『狂武蔵』クラウドファンディングについて

──
ここからは『狂武蔵』のクラウドファンディングについての質問を。今回支援プロジェクトを始めることになったきっかけを教えてください。
TAK∴:
「クラファンやります」って言い始めたのは太田プロデューサー。勇ちゃんの倉田アクションクラブ時代の同期なんだよね。
下村:
そう、大阪倉田アクションクラブ時代の同期。当時はお互い十代でした。『RE:BORN』を機に27年ぶりに再会しました。彼が先に倉田アクションクラブを辞め、芸能活動の場を東京に移したんですよ。
当時は携帯電話がなかったから連絡先もわからなかった。お互いこの業界にいたら、どこかで会えるかなと思っていたんですが、名前すら耳にしなかった。毎年他の同期とは会うので、もちろん太田のことは思い出すんですが、本当に彼が何をやっていて、今どこにいるのか誰も知らなかったんですよ。そんな時、突然SNSで太田から連絡がきたんですね。27年ぶりですよ。お互い十代のイメージしかない(笑)。再会して彼に聞いたんですが、彼は早いうちにこの業界から離れ、不動産関係の仕事で成功していたんです。同時に海外に行く機会も多く、世界中を旅するのが趣味みたいで、貧しい国や紛争地域に近い場所なども訪れて、ボランティア活動などもしているみたいです。そこに生きる人たちは環境や経済的に苦しくても、心が豊かな人が多く、たくましく生きている姿に感動させられると。この平和な日本にいたら気づかない「当たり前」が「当たり前でない」ことを。だからこそ、太田が『RE:BORN』を鑑賞してくれた時に、作品の裏テーマをしっかり読み取ってくれてたのが嬉しかった。『狂武蔵』の話をした時に、彼は新しい形で映画の公開にチャレンジしたいって言ったんですね。
TAK∴:
それで、俺も勇ちゃんも太田プロデューサーを信頼してるから「どうぞやってください」って感じですね。
下村:
『狂武蔵』は素材も権利も前に拓ちゃんがいた事務所にずっとあって、公開したくても公開できなかったんですよ。でも太田が『RE:BORN』を観て拓ちゃんのことを知って、「この人がやってる『狂武蔵』が世に出ないなんてもったいない、何とかしたい」ってことで彼が権利を買ってくれたんです。ただ、普通に上映するのは難しい作品だから、上映方法もいろいろ実験してみようと。あと、まだ完成してないからお金も集めなきゃいけないっていうところでクラウドファンディングの話が出ました。もうそこは僕も拓ちゃんも太田に任せるって形になって。
TAK∴:
太田プロデューサー曰く、『狂武蔵』の俺が命を削ってる姿を見て、同じことはできないけど、それぐらいのことをやりたいと。だから観客が1人でもその地方に行って映画館を作って上映する。そういうことをしてでも、少しでも命を懸けるような想いでやりたいと言ってましたね。
──
プロジェクトを立ち上げて、実際に支援金が集まりますね。支援金の使い道はどうなるのでしょう。
TAK∴:
先ずは仕上げだよね。
下村:
ポストプロダクションですね。現状の『狂武蔵』は、効果音もないし、木刀に銀紙を貼ってるだけなんで、そういうところをCGで加工したり、血を足したりとか。あとは音楽。既成の音楽は乗ってるんですが、新たに作らなきゃならない。完成に向けた資金にしたいんです。
TAK∴:
「坂口拓引退興行」で『狂武蔵』を鑑賞した人は、何がすごいって未完成で生音で観てるってことですよね。それも意外と迫力はあるんですけどね。だけど勇ちゃんに共同監督で入ってもらったのは、つまり現場が俺、仕上げが勇ちゃんになるから2人で監督っていうね。じゃあ俺がやればいいじゃんって思うじゃないですか?でも俺はもう『狂武蔵』を観たくないんですよ。あの時を思い出して気分が悪くなっちゃう。だから信頼できる勇ちゃんに任せたい。まぁ俺の方が頭3つぐらい上いってると思ってたけど、『RE:BORN』の監督じゃないですか。やっぱ今はもうね、下村勇二っていう男を尊敬しているし。今までは親友だったけど、何やらせても俺以下だと思ってたんですよ?
下村:
気づいてたけどね(笑)。
TAK∴:
思ってただけね? 実際は分からないですよ? だけど、いまの勇ちゃんて『RE:BORN』を一緒にやった戦友でもあるし親友でもあるし、信頼できるからこそ勇ちゃんに委ねたいなって。『狂武蔵』は。それであげたんですよ、我が子を。育ててくださいと。俺が「生みの親」で、勇ちゃんが「育ての親」。
──
現在仮でついている音楽は三味線や和太鼓がメインでした。メロディやリズムがゾーンに入っていく武蔵の雰囲気に既にハマっていましたが、新たにつける音楽の方向性はもう決まっているのですか?
TAK∴:
それはもう勇ちゃん側の話ですね。
下村:
それは『狂武蔵』の構成によって変わってくると思います。ドキュメントとして観せるのであれば、ナレーションを入れる案もあります。映画として観せるのであれば、前半にドラマを追加して“宮本武蔵”像をもっと掘り下げる案とか・・・まだ模索中ですが、それによって音楽も変わってくると思います。でも結局ワンカットの部分は変えないですから。あと今って効果音が入ってないから仮音楽が合うかもしれないですけど、あそこに効果音が入ってくると印象が変わってくるんですよ。そこで、もう少しドラマチックというか、武蔵が戦っている心情が分るような音楽に全部作り直したいなと思っています。
──
効果音はどうされるのですか? 生音の良さもありますよね、ぶつかり合う音とか。
TAK∴:
木刀の音はドキュメントとしてはいいけど、1本の映画として出すためには刀の音と、あと血も足した方がいいと思うんですよ。加工して大げさにするのがやっぱ映画なんで。現状はただのドキュメンタリーだから、今から映画にしてもらうってことだと思います。だからドキュメンタリーバージョンはね、DVDの時に2枚組にしたらいいんですよ。リアルが見たい人はドキュメントの方をどうぞ、みたいな。
──
現状の作品はカラーで拝見したのですが、白黒の画像もネット上にありますよね。
TAK∴:
海外は白黒が嫌いなんだよね。
下村:
とは言ってるけど、僕は白黒もありかなって思ってる。血をCGで足したりする場合は馴染みやすいし、あと刀ですよね。カラーだと木刀ってバレやすいし。それに時代劇という世界観に合っている。
TAK∴:
白黒だとさ、黒色の血でバンバンいけるから面白いよね。海外でも白黒がイイとかイヤとかじゃなくて、77分戦ってるってところが面白いんだろって。黙って観ておけばいいんだよと。
下村:
だから白黒でもいいと思うんだよね。仕上げに関してはまだ模索中ですが期待して待っていてください。
──
では、映画が完成したあとの展開はどうなっていくのでしょうか。
下村:
そこは太田プロデューサーがいろいろ上映方法を考えてますね。たぶん普通の劇場公開は『狂武蔵』はできないと思うんですよ・・・今の形ではね。
TAK∴:
だけどさ、限定ではやりたいよね。劇場は限定上映だけ。イベント上映もやりたいけど、基本は太田プロデューサーが目指す新しいやり方で上映するっていうことですよ。
──
例えば、声をかけられればそこに作品を持っていくというような。
TAK∴:
そうそう。
下村:
プラネタリウムでやるとか。劇場のないような地方でも届けるために直接行って、レンタルスペースとかになるのかは分からないけど、そういったところで上映するとかですね。もしかしたらそこから話題になって劇場公開もがあるかもしれないですからね。
TAK∴:
観たい人が多ければ劇場公開もあるんじゃないですか?
下村:
ただ、『狂武蔵』は次の侍映画の宣伝的な部分もあるのかな?
TAK∴:
それもあるから、劇場でやってあげたいよね。『RE:BORN』ファンたちもちゃんとした劇場で観たいはずだから。けどSNS的には面白いと思うよ。77分ワンカット延々と戦う作品があるっていうね。「人間の限界を見てみる?」みたいな。『狂武蔵』が面白いところは、映画の中で俺が本当に強くなっていくところですからね。一人の男が本当に強くなる瞬間を目撃できる。つまり宮本武蔵が吉岡一門と戦って強くなる瞬間とリンクしてるのが面白いですよね。
──
クラウドファンディングのリターンについてですが、TAK∴さんとしてはどこまでされる予定なのでしょう。
TAK∴:
追加リターン商品で後に発表されると思いますが、一番高いリターン商品は、俺が持つ忍者集団「靁凮刄」があなただけのために目の前で忍者ショーを全部お見せするっていうのが一番高いんじゃないですか?
下村:
あとは、あなたの家に坂口拓が行って料理しますとか?アクションのワークショップで坂口拓と共演して動画が撮影できますとか?
TAK∴:
太田プロデューサーがいろいろ考えてますが、『狂武蔵』クラウドファンディングはハズレのない宝くじみたいな感じでやるって言ってましたね。
──
最後に、『狂武蔵』の完成はいつ頃になりそうですか?
下村:
来年上旬までには完成させたい想いはあります。まだ秘密ですが、公開時期に合わせサプライズも考えているので。
──
TAK∴さん、下村監督、ありがとうございました!

(ライター:葦見川和哉)