Interviewインタビュー

第2弾『狂武蔵』を支えた男たち

Vol.7
長野泰隆(撮影監督)カラサワイサオ(アクション監督)

『狂武蔵』復活について

──
そして今回、『狂武蔵』はクラウドファンディングという形で日の目を浴びようとしています。プロジェクトを進めると聞いてどういった印象を持たれましたか?
カラサワ:
長野さん、いかがですか(笑)。
長野:
僕?(笑)。そうですね…… 正直すごい複雑なんですよね。
カラサワ:
そうなんですよ、複雑なんですよ。
長野:
僕はカラさんからクラウドファンディングの話を聞いて。
カラサワ:
なんて言うんですかね。どっかで未完成っていうのが抜けないんですかね?
長野:
うーん……。たぶん、やり残してるっていうのがあるのかな。
──
いま『狂武蔵』は未完成の状態ですが、お2人の中で完成させたいという思いはどれぐらいのものなのでしょう。それとも、このままでもいいという気持ちなのか……。
カラサワ:
撮った時がもうそういう状態で撮ってるからね。普通の作品みたいに皆さんに観てもらおうっていう感じで撮ってないんで。ダメなんですけどね?(笑) だけどこれが変な話、逆に誰かの手によって皆に観てもらいたいと動かしてもらった方が楽なのかもしれない。
長野:
そうですね、僕らの気持ちとしては。
カラサワ:
俺らからすると「観てください」みたいな感じで言える作品かというと、ちょっと相当エゴが入ってるところがあるから。公開されるか分からないとか、そんなこと気にせず撮ってましたもんね。
長野:
そうでしたね。そういうことじゃなかったんですよね。
カラサワ:
じゃあ普通の映画を撮った時みたいに、これから観てくださいっていう感じには正直なれないんですよ。だから今回太田さんみたいな方がプロジェクトを始めて、形にしようってなったのはすごく良い機会だと思うんですよね。
長野:
そうなんですよ。あの時間が報われればそれでいいなと。
カラサワ:
だからこの場を借りて、ありがとうございましたと伝えたいですね。いろいろ時間が解決してくれるところがあるし、もともと何かを生産して売るビジネスの、映画っていう母体でやってた中でたまたまイレギュラーでできちゃったものが『狂武蔵』で。その母体ではやっぱり商品にならないと結局お金にならないので。そういう事情とかもあって、お蔵入りというか宙ぶらりんみたいな感じになってたので。要はプロになってから自主映画を撮っちゃったんですよね。
長野:
そういうことになるんでしょうね。
カラサワ:
プロになる前に自主映画を撮る時にすごい熱が入るじゃないですか。それがプロになった後だと自主映画って撮らないけど、それをやっちゃったんですよ。だから販売戦略とかそういうのを置いてきちゃった。俺らはプロだっていう認識がある上で自主映画を撮ってしまったので、そりゃあ皆プロになる前とは全然比べ物にならない技術で撮っちゃった作品ではあるんだけど。だから終わった後に、拓ちゃんと「こんな映画があってもいいんじゃない?」って話してて。
──
それでは、最後になるのですが拓さんから長野さんに伝言を預かっていまして。「『狂武蔵』で戦えたのは、長野さんがいたから。長野さんがいたからこそ自分が輝けた!」と。
長野:
そうですか(照れ笑い)。
──
それと長野さんご自身からもお話があってビックリしたのですが…… 拓さんから「俺がまた命を懸ける準備が出来たらヨロシクです!」とのことでした。
長野:
ありがとうございます。僕が生きてたら、やります(笑)。体は大丈夫ですから。
カラサワ:
このままプライベートで会わない方が面白いのが撮れそうだよね(笑)。
──
長野さんがいまも体を作っているというのは、やはり拓さんの次の作品のためにという思いがあるのでしょうか。
長野:
クランクアップした次の日から走ってますからね、あの日以来。終わってないんですよ、自分の中で。ずっと終わってなくて。だから体を作っているというか、自分自身の中のけじめなのか分かんないですけどね。
──
では、拓さんと長野さんの再タッグ実現の可能性は高いということで。
長野:
はい。
──
長野さん、カラサワさん、ありがとうございました!

(ライター:葦見川和哉)